デジタルトランスフォーメーション(DX)
最近SIerの中でデジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれだしました。
DXとはなにか。デジタルとはなにか。
なんだか誰もがわからないまま言葉だけが独り歩きしているような気がしており、今日はDXについて考えてみるポエムです。
DXとはなにか
どうやらDXには大きく分けて2種類の意味合いが存在するように感じています。
- 本来の意味でのDX
- 宣伝文句としてのDX
本来の意味でのDX
DXってなんだろうと考えてみたり調べてみたりしたのですが、結局Wikipediaに書いてあることがすべてなんじゃないかと
デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念である。
~(略)~
デジタル化の第1フェーズはIT利用による業務プロセスの強化、第2フェーズはITによる業務の置き換え、そして第3フェーズは業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態である。
~(略)~
デジタルトランスフォーメーションした企業は欧米のIT企業と競合するが、それはデジタルトランスフォーメーションが本質的にIT企業になることと同じ意味となるからである
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%B8%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
いろいろ書いてあるんですが、ぼくはデジタルトランスフォーメーションとは「IT企業でない企業がIT企業になること」だと思っています。
例えばDXした企業の代表といえば、Amazonでしょう。
最初はオンライン書店だった企業が今ではAWSが多大な利益を上げ、倉庫を効率化し、KindleやAlexaを開発するなどIT企業の代表格となっています。
宣伝文句としてのDX(バズワードSI)
宣伝文句としてのDXは、まさにSIerが提唱しているような内容です。
SIerのほとんどの企業がこれを掲げています。
この意味でのDXは、いわゆるAIやIoTなどの今っぽい”最新”のテクノロジーを用いて、業務を変革するという意味で使っています。
このDXでは、Wikipediaの定義の第1フェーズ「IT利用による業務プロセスの強化」ができるくらい、ものすごく成功して第2フェーズ「ITによる業務の置き換え」ができるくらいでしょう。「第3フェーズは業務がITへ、ITが業務へとシームレスに変換される状態」には、スピード感がおそすぎて到底たどり着けないでしょう。
ユーザー企業とITベンダという構図の中でRFPを出して提案して重厚長大な契約をして初めてPoCが始まるということをやっている間に、DX企業はビジネスを始めています。
また、第3フェーズに至るためにはITがわかり、かつビジネスに責任を持てなければなりません。
ビジネスの責任は取らないけど、お客様と一緒にビジネスをするなんて、到底ムリな話ではないでしょうか。
この意味でのDXは、技術要素が変わっただけで今までのSIと本質的には変わっておらず、第3フェーズまで到達できないがゆえにDXとは言えないのでしょうか。
どちらかというと、DXというよりバズワードSIといったほうが良いかも知れません。
DXによる産業構造の変化
これまではユーザ企業に業務の人、SIerにSE、プログラマがいるという構図でした。
DXによって業務の人もITにちょっと詳しいだけのひともいなくなり、ITで業務をやる人しかいなくなるのではないでしょうか。
SIerが不要になるだけでなく、業務の人も生き残れないというところがポイントかと思います。
街の書店がAmazonによって打撃を受けたように、商店街がショッピングモールによって壊滅したように、
DXできなかった企業もSIerも業界の変革についていけなくなるでしょう。
SIerはどうしたら生き残れるのか
SIerが生き残るには、以下の4つしかないと思います。
- 基幹系の保守運用
- 自分たちでビジネスを始める
- パッケージ製品、HW製品を作るベンダ化する
- DXした企業ですら対応できないような問題に対する高度SEの派遣、ITコンサルタント
少なくとも”デジタル”ではない基幹系の保守運用があるので、
バズワードSIで目先の利益を優先したとしても、今の経営陣が現役のうちはゆるゆるもちこたえられるのだと思います。
ただ、今の20代が経営陣になるころには、SEはオーバーヘッドにしかなっていないのではないでしょうか。